君と過ごした100日間。


「さっ。もうお昼だしなんか食べに行こっ。」



もう昼の1時になろうとしていた。

さすがに私はいいけど麻実はお腹すくでしょ?



「えー。まーちゃんもっとおにぃちゃんと遊びたいぃ。」


「だめだよ。もう帰らないと……」



途中までそう言ってやめた。

多分こんなこと言ってもいつもとおんなじで話なんて聞いてくれない。



そこで郁哉の真似してみることにした。



「ほら。もうおにぃちゃんも疲れちゃったから休憩させてあげよ。後はお家でおねーちゃんが遊んであげるから。」


「うーん。でも……。」



麻実は郁哉の方をちらっと見た。



「分かった。ありがとおにぃちゃん。遊んでくれて。」



あ………素直に言うことを聞いてくれた……。



「おにぃちゃんも楽しかったよ。また遊ぼーな。」


郁哉は麻実の頭をなでながら言った。

そして私の顔を見た。



「今の言い方……よかったぞ。」



やった……よかったんだ………。

郁哉ってほんとすごいよね。

一人っ子なのに小さい子のお世話できて。



「じゃあ……また明日ね。」


そう言って麻実と手を繋いで来た道を帰った。


「郁哉くん。探したのよ。早く帰りましょ。」


ん?

誰の声?


郁哉と別れて少ししたとき誰か女の人の声がした。

振り返って見てみる。


「おねーちゃん!お腹すいたよぉ。」

「あ……うん。ごめんごめん。」



ぐいっと麻実に腕を引っ張られてよく見えなかった。


そういえば郁哉は必ずおんなじ時間に帰ってたよね?


いつも誰かと待ち合わせしてるのかな?

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