Wildcat~この愛をあなたに~
「優しくしないでください」
私は一希さんを窘めた
「なんで?」
えっ?いつもならはぐらかすのに
どうして質問してくるの?
なんでって?
狡いよそんなの···
「とりあえず行ってきます」
「おまえ連絡先わかるのか?」
まるで保護者みたい
私は首を振った
だって一希さんが教えてくれなかったんじゃないですかと言い掛けたところでスマホがとんできた
慌ててキャッチして安堵する
「···えっと」
「とっととしろ」
「あっはい」
連絡先をいれて私はスマホを返したところでさっきのおばさんが戻ってきて言う
「美空ちゃん遅れるわよ~」
きっと一希さん目当てなんだろうなかっこいいもんね
「あっはい」
「一希くん美空ちゃんには槙さんっていう彼氏がいるのよ~残念ね」
「別に、じゃあ俺いくから」
「それタトゥーとかいうのよね
よくないわよそういうのいれてる人とつきあうなんて」
「一希さんはそんな人じゃありません」
バンとすごい音がしてエンジンが唸りをあげた
私は自分の部署に行く前にスマホを確認した
「これ私のじゃない」
よく見れば私のスマホじゃない
さっき気をとられてて返したつもりだったんだ
慌てて電話をかけようとしたら逆にかかってきた
「もしもし一希?
少し早めに店に顔だしてよスミレさんが来るんだって」
スミレさん?
誰だろ···
私は帝さんに言う
「帝さん」
「あれ美空ちゃんだっけ?」
「はい
携帯間違えちゃって」
「一希といたんだ
一希も変わったな」
昔の一希さんはもっと違かったのかな
「どうしましょう」
「とりあえず待てば?
あっでも起きないかも一希、基本的に夜型だから
今どこ?ん~お昼に新宿駅で会おう」
「あっはい」
お昼まで仕事を頑張って駅まで向かった
うちのオフィスのいいところは駅近なところ
新宿駅に着くと帝さんが待っていてくれた
「やあ」
お店でみるのと雰囲気違う
「帝さん」
「なにか食べる?」
「ん~パスタとか」
「いいよ奢ってあげる」
私たちは近くのカフェに行った
帝さんはオープンテラスで優雅にコーヒーを嗜んでいた
「お待たせしました」
私はお盆にパスタとサラダと色々のせて席についた
「よく食べるね」
「はい食べるの好きですからって帝さんはコーヒーだけですか?」
「うんまあね
ねぇもし僕が西園寺家の御曹司だったらどうする?」
「えっ···」
「冗談だよ、そんな顔しないで」
私どんな顔してたの?
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