Wildcat~この愛をあなたに~
「らしいね
スミレさんから花束は預かったんだけど」
「いっちゃん頑固だからねあぁみえて」
「私ちょっと出かけてきます」
「うん、あんまり遠くに行かないんだよ」
一希さんの誕生日
きっと今まであまりいい思い出なんかないんだろうな
渡したいプレゼントは決めていた
私が破いてしまったシャツの代わり
渋谷の方のショップにまでいつのまにか足をのばしていた
一希さん細いしスタイルいいしなぁ
色々と見てはため息をつく
一希さんにしたら着れればいいに決まってる
でもちゃんと心をこめたい
「お嬢さん」
ショップを見回していると高級車から降りてきたスーツ姿の男の人が声をかけてきた
「はい」
「ちょっと時間をもらいたい
車に乗っていただきたい」
怪しいと思って声をあげようとした口を塞がれ無理やり車に詰め込まれた
「痛いです」
「ごめんね俺、青山組の若頭」
「えっ···」
「難しい話しじゃないんだよ」
サングラスの奥の瞳は笑ってない
「なんですか?」
「今月分のお金300万」
高っ300万···
声がでなかった
「無理です」
「だよね~それに君は部外者だ
君に頼みたいのは番犬くんを黙らせて欲しい
いいかげんうんざりなんだよね~わざわざ押しかけてきてな~んも抵抗しないで待ってくださいって土下座されんの
みててウザイ」
きっと一希さんのことだ
「···知りません」
くいっと若頭さんのほうに顔を向けられる
「君は知ってる顔に痣があるから
そして君は彼女さんかな」
「放してください」
「強気だねいいよキライじゃない」
ちゅっとわざと音をたててキスされた
そして私は車から突き落とされるように降ろされた
私は震える体を抑えながらプレゼントを決めてお店に戻った
「おかえり随分おそかったね」
「帝さん」
帝さんの笑顔に安堵しながらも言えなかった
タイミング悪くドアが開いて不機嫌な一希さんが現れた
「ここにいたんだなっておまえなにしたんだよ」
「別に」
「一希おちつこう」
「なんでもないですから」
店長が宥めてくれたことで私の涙腺が崩壊した
でも一希さんが行っちゃう
「行かないで」
しぼりだした声は震えていた
「ごめんね関わらせなければ怖いおもいもしなかったよね」
「一希さん」
私は自分よりも一希さんが離れてしまうのが怖かった
「つーか2人で話したい来い」
外に出て一希さんの車に乗る
「なあ、どこも行かねぇからなんか話せ」
「言いたくありません」
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