Wildcat~この愛をあなたに~
一希さんはわざとにやりと笑ってシートを倒す
「体にきくしかないか」
「イヤ放して」
わざとだとわかっていたのに一希さんを拒んでしまった
「なにされたんだよおまえ」
「ごめんなさい」
一希さんはそっと前髪を撫でて優しくキスをしてくれた
「俺以外とキスした?」
「うっ···はい」
「それは元彼?」
私は慌てて首を振る
「違います」
「まぁいいや」
一希さんは車から降りて店に戻った
私も後を追いかける
お店のドアを開けるとクラッカーが派手に鳴った
「いっちゃん誕生日おめでとう」
「別に」
「一希またそうやって照れて」
店長の悪乗りに帝さんが拍車をかけた
「ガキじゃあるまいし」
「君はいつまでもガキのままだよ
僕にしたらね帝くんもいっちゃんも大切な子供たちにかわりないからね」
ため息をついて珍しくカウンターに座る
私も隣に座って遅くなった誕生日プレゼントを手渡す
「気持ちだけですけど」
「サンキュ」
「これは僕から」
一希さんの前に置かれたケーキ
何故か29のプレートまでついている
「店長嫌がらせでしょ」
帝さんが笑っているってことは一希さんの年齢ってことなのかな
「一希さん29才なんですね」
「うんそうだよ
しかもこのケーキはいっちゃんが大好きなケーキ屋さんのレアチーズケーキ」
タバコを吸いながらも一希さんは不機嫌だ
「一希これはスミレさんから
そして僕から」
一希さんはスミレさんからのプレゼントに顔をしかめていた
帝さんが手渡したのはワインのボトルだった
「呑むか?」
「あっいえ高いんですよね」
「帝、グラス2つ」
「はいはい」
一希さんはタバコをくわえながら起用にワインの蓋を開けるとグラスに注いでくれた
白ワインをみつめていると一希さんがグラスを傾けてきた
「乾杯」
「あっはい、いただきます」
楽しい時間はすぐに過ぎてしまう
からんと音がして見慣れた人物が入ってきた
「やあじゃまするよ楽しい宴の時にごめんね
一希くんだっけ?誕生日おめでとう」
「あんたは」
「そうだよ、今日は土下座しないんだ」
「何の用だい?」
「300万受け取ったアフターサービス」
「出て行ってくれないか目障りだ」
「都落ちした西園寺家のお坊ちゃま
確かお金を払ってくれたんだって」
「なぁ出てけよ」
一希さんが睨みつける
どうにかしなきゃ
「なにが欲しいんですか?」
「君かな」
「てめぇ聞こえなかったか?」
「聞こえない」
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