Wildcat~この愛をあなたに~
氷が溶ける音とドアが開く音が重なった
「遅くなりました
って一希さん」
「おはよ美空ちゃん」
「店長さんおはようございます」
「今日はなにするの?」
「えっとお店の飾り付けです」
「おまえ約束忘れてるだろ」
「約束?」
「帝から
いま新宿駅にいるらしいけど」
「あーっ」
帝さん家のティーパーティすっかり忘れてた
一希さんがライン届いたって言わなかったら気づかなかった
「おまえなぁ」
「一希さんこれお願いしますね」
材料を一希さんに押しつけて私は新宿駅に向かった
「帝さん遅くなりました」
「来ないのかと思った」
「すいませんでした」
「とりあえず時間もないし行こうか
って僕あんまり陽の光って好きじゃないんだよね」
はぁ帝さんって少し変わってる
私は帝さんと少しだけ歩いてロータリーに向かった
ロータリーにはリムジンが停まっていてすぐにドアが開いた
「お待たせ松波」
「はいお待ちしておりましたお坊ちゃま」
「うん
家に向かう前にいつもの店に寄って
こんなみすぼらしい格好じゃ会わせられないよ
一希は気にしないだろうけど」
私は高そうなお店の前で停まるなんて思っていなかった
確かに一希さんには手が届かないかも
「僕が選んでもいい?」
「あっはい」
それからはまるで着せ替え人形のようにあれやこれやと着せられけっきょくブルーのドレスに白のヒールにおちついた
「似合ってる」
まさかとは思ったけどカードの一括払いとは···さすがセレブ
再び車に戻る頃には息がつまっていた
一希さんに連絡したい
「あの」
「ん?また一希のこと考えてた?」
肯定とも否定ともとれる曖昧な表現で私は答えた
「あっいえ」
「君は本当に気づいてない
僕がいつまでも待ってるだけだなんて思ってないだろうね」
帝さんのキス優しくて落ちたら二度と這いあがれなくなるようなキス
「帝さん」
「教えてあげる柏木一希は青山組とつながってる」
「うそ···」
あんなに優しい一希さんが···どうして
祈るように一希さんに電話した
何回目かのコールのあと間延びした声がした
「一希さん?」
「どうした?」
「騙してたんですねいちばん狡いのは一希さんですよ」
「なにがだよ」
「なにがって」
「なんで泣いてんだよ」
「一希さんにしたらお店なんてどうでもいいんですよね」
「帝にかわれ」
「イヤです」
「はあ?いって」
「あっごめんなさい」
電話ごしに一希さんのため息がする
「遅くなりました
って一希さん」
「おはよ美空ちゃん」
「店長さんおはようございます」
「今日はなにするの?」
「えっとお店の飾り付けです」
「おまえ約束忘れてるだろ」
「約束?」
「帝から
いま新宿駅にいるらしいけど」
「あーっ」
帝さん家のティーパーティすっかり忘れてた
一希さんがライン届いたって言わなかったら気づかなかった
「おまえなぁ」
「一希さんこれお願いしますね」
材料を一希さんに押しつけて私は新宿駅に向かった
「帝さん遅くなりました」
「来ないのかと思った」
「すいませんでした」
「とりあえず時間もないし行こうか
って僕あんまり陽の光って好きじゃないんだよね」
はぁ帝さんって少し変わってる
私は帝さんと少しだけ歩いてロータリーに向かった
ロータリーにはリムジンが停まっていてすぐにドアが開いた
「お待たせ松波」
「はいお待ちしておりましたお坊ちゃま」
「うん
家に向かう前にいつもの店に寄って
こんなみすぼらしい格好じゃ会わせられないよ
一希は気にしないだろうけど」
私は高そうなお店の前で停まるなんて思っていなかった
確かに一希さんには手が届かないかも
「僕が選んでもいい?」
「あっはい」
それからはまるで着せ替え人形のようにあれやこれやと着せられけっきょくブルーのドレスに白のヒールにおちついた
「似合ってる」
まさかとは思ったけどカードの一括払いとは···さすがセレブ
再び車に戻る頃には息がつまっていた
一希さんに連絡したい
「あの」
「ん?また一希のこと考えてた?」
肯定とも否定ともとれる曖昧な表現で私は答えた
「あっいえ」
「君は本当に気づいてない
僕がいつまでも待ってるだけだなんて思ってないだろうね」
帝さんのキス優しくて落ちたら二度と這いあがれなくなるようなキス
「帝さん」
「教えてあげる柏木一希は青山組とつながってる」
「うそ···」
あんなに優しい一希さんが···どうして
祈るように一希さんに電話した
何回目かのコールのあと間延びした声がした
「一希さん?」
「どうした?」
「騙してたんですねいちばん狡いのは一希さんですよ」
「なにがだよ」
「なにがって」
「なんで泣いてんだよ」
「一希さんにしたらお店なんてどうでもいいんですよね」
「帝にかわれ」
「イヤです」
「はあ?いって」
「あっごめんなさい」
電話ごしに一希さんのため息がする