Wildcat~この愛をあなたに~
ここに置いてかれるのとついていくのならついていくを選んだはいいが一希さんのレンジローバー速い
法定速度ギリギリではしりやっとお店に着いた
「一希···本当に好きなんだね」
「はあ?」
「まあいいや君は僕とお留守番いいね?」
「帝たまには動け」
「やだよ僕は血なまぐさいの苦手だから」
じゃあと言って一希さんは車の鍵を投げ渡すと同時に開くドア
「ごめんごめんちょっと野暮用」
一希さんがギロリと帝さんを睨む
「僕の勘違いだったみたいごめん」
帝さんは笑いながら謝り一希さんは車の鍵を片手でもう片方の手でダーツの矢を放った
真っ直ぐに真ん中を射る
「上手なんですね」
「おまえバカにしてるのか?」
「バカになんかしてないですよ
つーか帰る」
荷物を置きっぱなしにしていたのを思い出し慌てて後を追う
レンジローバーに乗り込む前にコンビニで遅い夕ご飯を買った
一希さんのアパートの部屋に帰ると2人でカップラーメンをすする
「一希さん」
「なんだよ」
「番号教えてください」
「はあ?なんで今日会ったばかりのしかも押しかけ女に教えなきゃいけないんだよ」
「押しかけ女って···
拾ったのは一希さんですからね」
「んでおまえこれからどうすんだよ?
帰る場所ないんだろ」
「ほらまたそうやって甘やかす」
「おまえなぁ」
ため息ひとつ一希さんは軽く笑った
「あっ」
「あっ?」
とくんと心臓が高鳴る
揺れる心···
あのカクテルを思い出す
「シャワー借りていいですか」
私は悟られないようにゆっくりと鞄からタオルを取り出した
それから辺りを見渡す
やっぱり至ってシンプルな部屋
槙はあの部屋に1人でいるんだろうか
今日もご飯を作って待っているのだろうか
「槙···」
ふいにこぼれた名前を一希さんは聞き逃してはくれなかった
「帰れ」
「えっ···なんでもないです」
それもつかの間、私の手からタオルが滑り落ち壁に背がついた
「帰らないのか戻るなら今だぞ子猫ちゃん」
一希さんの冷たい瞳
ゆっくりとキスをされる
甘い雰囲気でなく危険な雰囲気
どうにかしなくちゃと思うけどうまくいかない
一希さんの右手は優しくも冷たい
「一希さん···」
「おまえが呼ぶのは俺じゃないそうだろ?」
涙が自然とこぼれたのと同時に首にかかっていた右手の力が緩まる
「···」
私はよくわからないまま一希さんを押し倒していた
「ってぇ···バカ女、壁薄いつったろ」
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