あたしは君のラブティーチャー!




苦笑いを浮かべたあと、あたしは陽のもとへと駆け寄る。


「陽!お待たせ!」


「あっ、朔乃先生。おはようございますっ」


あたしに笑顔を向けてくれる陽。


その笑顔に一瞬ドキッとしたものの、目線を下にずらしていくうちにそのときめきは薄れていく。


「……陽、それ普段着?」


「ち、違いますよ!で、デート用の物を選んできたつもりなんですけど……」


本人はそう言うものの、あたしは素直に「ダサい!」って思ってしまった。


上は黒いTシャツに、下は裾が引きずってしまうほど長すぎるGパン。
靴は、運動靴みたいなあまりオシャレとは言い難いデザインのうえに白。
しかも履き古しているのか、薄汚れている。


「不合格」


「ええっ!?」


あたしにきっぱりと言われて涙目になる陽。


でも、こんなので天川さんの隣を歩く方が酷だ。幻滅されるのがオチだと思う。


傷つけてしまうかもしれないけど、変に優しい言葉をかけるほうが、陽のためにはならない。


「陽は一からオシャレを勉強するべきだわ。はっきり言ってデートにその格好は有り得ない」


「そ、そんなぁ……」



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