あたしは君のラブティーチャー!




「じゃ、じゃあ、趣味とかは何かございますか?」


「カラオケとお菓子食べることと……って、だからそうじゃなくて!」


陽からの質問に、あたしは思わず答えそうになったけど、慌てて突っ込んだ。


「だから、こんな初対面の男女が交わすようにお堅い会話じゃなくてね、もっとこう、お互いのクラスでのこととか」


「共通の先生の話題、とかですか?」


「そうそう!そんな感じ!」


あたしがやっと同意したからか、陽が難問を正解した時みたいにキラキラと目を輝かせる。


そうそう。まずは、相手との心の距離を縮められるような話から始めないとね。


「確かに、陽もまだ天川さんの知らないこといっぱいだと思うし、天川さんの好きな物とか嫌いな物とか知りたい気持ちもよくわかるよ」


でもね、と続けるあたしを、陽が食い入るような目で見つめてくる。


「それは仲良くなってからでも聞けばいいことだと思うのよ、あたしは。
そんなことを聞く前に、まずは本当に他愛のない世間話をたくさんして、天川さんの陽に対する心の壁を自然となくならせるの。
そうすれば、すぐにだって仲良くなれるから」



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