あたしは君のラブティーチャー!
あたしに急かされ、またメモにとりかかる陽。
だけど、それを遮ったのは、またもやあたし。
「陽……あのさ」
「はい?」
陽はパッと顔を上げる。
「今日は、その、ありがとね」
「え……」
あたしがお礼を言ったのは、授業中のこと。
あたしがわからなかった問題を、あたしの代わりに陽が答えてくれた、あの数学の時のこと。
「あたし、数学苦手だったから、助かったよ」
苦笑しながらそう言うと、陽はふにゃっと口元を緩めて。
「へへっ、僕でも役に立てることがあってよかったです」
やたらと嬉しそうな陽の笑顔。
あたしも、やっとありがとうと伝えられたのもあって、つられるように笑った。
「ダメだよね〜、あたし。陽には偉そうに“先生”なんてやってるけど、勉強はからっきしで……」
これで、卒業後の進路は大学と考えているあたり、あたしは根っからの馬鹿なのか。
でも、だからといって就職できるような気もしないんだけど。
とりあえず、今度の中間テストは、それなりに良い点数を取らなきゃいけない。