あたしは君のラブティーチャー!




あたしは、ドンっと胸を叩く真似をした。
それを見て、陽はクスクスと笑う。


「日も暮れてきましたし、そろそろ帰りましょうか」


その笑顔のまま、陽がそう言った。


「うん、そうだね」


促されるように、あたしはノートや教科書をバッグにしまい、帰り支度をする。


いつもなら、勉強道具なんて全部学校に置いていくんだけど、今日は家に帰っても一通りやるつもり。


久しぶりに自分の部屋の勉強机が役に立つのだと思うと、なんだか少しワクワクする。


そんなことを考えていると、陽があたしの様子を不思議そうに見てきた。


「どうかしたんですか?」


「ううん、家で勉強するの久しぶりだなーって」


「家で勉強しないんですか?」


「うんー、あんまりね」


母親の代わりに家事をしてたり、今までは男としょっちゅう遊びに行ってたりしたから。


ただでさえ退屈な家にいる時に、勉強するなんてつまらないことは、二の次だった。


でも、問題がわかると素直に嬉しい。



< 52 / 385 >

この作品をシェア

pagetop