✝真夜中の甘い蜜【瑠斗編】✝
「ただいま~。話って何?」
「あら~、お帰り♪早かったわね♪」
早く帰って来いって言ったのあんたじゃん!!
少し私がイラッとしたのか分かったのか、お母さんが眉をひそめた。
「もぉ、短気なんだから。そんなことだったら行く先が案じられるわね」
「あーはいはい」
いつも通り適当に流してふと気づく。
お父さんもいるじゃん!
「なんでお父さんまでいんの?」
「なんでって話があるからだよ」
話があるならさっさと言ってよ。
「お父さんはイギリスに転勤することになった。だから緋香里はお父さんの友達が理事長をしている学校に転校してほしい。清夜高校だ」
……はぁ?
何それ意味わかんない。
清高って男子いるじゃん。
娘の男嫌いが分かっててそれ言ってんの?
マジなんなの。
「緋香里。あなたの男嫌いはちゃんとわかってるのよ。だから、クラスも男が少ないところに入れさせてもらってるのよ」
「それに、いつまでもそんなことで甘えていたら成長できないだろ?だから、ここに転校させることにしたんだ。あぁ、あと生徒会に入ってもらうよ」
……。決定事項なの?
娘の意思も気にせずに勝手に決めて。
「もぅいいよ。勝手にすれば?」