オートマトン -Online- 推敲中
「なんだそれ!パジャマじゃなかったのか?!」

 勢いに押されながらも、その反応が嬉しくて結衣はニコニコ笑いながら言う。

「美香が持ってきてくれたの」

 携帯を置いて、ゆっくり立ち上がる。

「ああ、今日は花火大会だからなぁ。まさか…これから行くのか?」

「ううん、今年は病院の中を、浴衣でカラコロする」

「そうか」

「なんか、ほっとしてない?」

「だって、花火大会すげー混んでんだもん」

「毎年一緒に行ってたのに、嫌いだったの?」

 結衣の斜め上に、祥平のごまかすような笑顔が見えた。

「別に嫌いじゃないよ」

 今日もラクロスの練習だったのだろうか。

 それとも試合だったのだろうか。

 見慣れたジャージ姿が、なぜか少し懐かしく感じた。

「じゃあさ」

 祥平がいつもの笑顔になって、結衣に耳打ちする。

 私たちを含め7人もいるはずの病室が、不自然に静かなことに気づいたらしい。

「病院の屋上に行こう。外だけど屋上なら出ても大丈夫だろ?」

「うーん、たぶん?」

 時計の針はもうすぐ19時半をすぎる辺り。
< 115 / 197 >

この作品をシェア

pagetop