オートマトン -Online- 推敲中
 しかし、それと同時に距離も感じていた。

 気を使われれば使われるほど、私たちはリアルでは他人なのだと言われている気がした。

 でも、いまのユイには配慮はあれど、そういった遠慮は感じなかった。

 進むべき道を見つけ、無心に突き進む。

 ユイからのメールには、そんな揺ぎない意志がこめられていた。

「自信はないけど」

 女の言葉に男はやはりといった表情になる。

「でも、私にだって」

(……私にだって何かできるはずよ。ユイみたいに、体が痛いわけでもないんだから。ユイが太陽神界に帰ってくる前に、何かできるはずだわ)

「意志があればなんでもできるわ」

 女はきりっとした視線を一瞬男に投げた。

 そして、テーブルの上に携帯をおき、男に背を向けたままネグリジェを脱ぐ。

 ゆるやかな髪がさらさらと背中に当たる。

(ユイだけが、主役じゃないわ。私だって)

 シャワー室に向かいながら、女は何度も心の中で繰り返し言い続けた。
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