オートマトン -Online- 推敲中
 足の先からブレザーの上に着たダッフルコートまで、すべてが高校指定の制服。

 校舎に向かう駅からの道を埋め尽くす高校生の制服は、1人も乱れることなくきっちりとそろっていて、手に持ったカバンまで同じものだ。

 この通学の様子を見た親は誰もが、高い学費を払っている甲斐があると思えるだろう。

「おはよう」

 クラスに入るなり挨拶をみんなに向けて言い放つ。

「おはよー」と返ってくる声の中に、違うものも混じっている。

 いつものことだ。

「おっ、アメリカン。おはようじゃなくて、グッモーニングだろ?」

 クラスの道化役の男がさっそく肩に手を回しながら絡んできた。

「日本でそれ言ったら変だろ?」

 それももうなれたもので、手をはずしながら適当にやり過ごす。

 高校1年で初めて日本に来た。

 転入当初から、特に緊張はしていなかった。

 僕は見た目は日本人だし、日本語も日常会話なら何とかできたし、体も弱いほうじゃないから自分の身は自分で守れると思っていた。

 後から聞いた話では、むしろ学校側のほうが、外国人が転入してくるといってすごく神経質になっていたらしい。

 最初の頃こそ、興味本位で騒がれていたけど、3年も終わりになった今ではもう、すっかり学校に溶け込んでいる。

 ……まぁ、100パーセントとは、言えないけれど。
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