オートマトン -Online- 推敲中
 でも、僕のいるこの位置が、今の僕にできる限界の位置だと思ってる。

 窓側の後ろから2番目の席に座る。

 チャイムが鳴って担任の女の先生が教卓の後ろに立って、いつものとおり話し始めた。

 この席からクラスを見渡しても、ちらほらと空席がめだつ。

 大学付属のこの高校はほとんどの生徒がエスカレーター式で大学に上がっていくから、進路が決まってしまえば無遅刻無欠席の生徒でさえもここぞとばかりに休みはじめる。

 先生にとっては、それは毎年のことのようで、特に言及することなく出席者を確認している。

 その一方で出席している生徒の方がなんだか居心地が悪そうだった。

 誰が自分と同じように通学してきているのか確認するように、きょろきょろと頭を動かしている。

 僕にとってはむしろこの雰囲気のほうが自然に感じられた。

 アメリカにいたころは日本人として扱われ、日本に来てみたらアメリカ人として扱われる。

 存在の根底が、いつもグラグラしていて、ぴたっとおさまるところがない。

 グラつきがあって、隙間があって、常に何かが欠けている。

 それが僕だ。

 その隙間は何かで埋められるものではないと、もうこの18年で痛いほど分かった。

 それでも、みんなと同じような場所を求めたときもあった。

 それは『オートマトン -Online-』の太陽神界。
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