オートマトン -Online- 推敲中
 スタート地点が同じで、みんなが同じ種族、そして他人。

 でも、人は集まれば群れができ、結局リアルと変わらなかった。

 いや、リアルよりもより現実的だった。

 リアルマネーを稼ぐ業者は無論、一般プレイヤーの間でさえも、物欲をむき出しにしたさまざまなやり取りがあった。

 最初は太陽神界という場所を汚されたようで、そういうやつらを進んでPKしていたけれど、流れを変えるどころか、いつの間にか自分さえも見失って、気づけばPlayerKillerと呼ばれ、疎まれる存在になっていた。

 高校3年の冬。

 それらももう終る。

 僕は受験して違う大学に行くから、ここを卒業してしまえば、アメリカンと呼ばれることもなくなり、いまよりももっと過ごしやすくなるはずだ。

 だから、いま『オートマトン』を辞めるのはいい機会だった。

 ルーク祭は予期してなかったけど、別に大したことじゃなかったし。

 それなのに―――

「おおーい!!!」

「え?」

「眠いのか?さっきから名前呼んでるんだけど?返事しないなら欠席にするぞ!」

 きれいな女教師なのに、体育担当だけあってしゃべりかたは結構荒い。

「はーい。ちょっと考え事してた」

「頭がいいのは分かってるけど、考えなくてもいいことまで考えるなよ」

「……はい」
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