オートマトン -Online- 推敲中
 案の定、サンタ服は着ていない。

 シャテラリア国のエンブレムを胸につけた白銀色のダブレット。同じ色のベレー帽には金色の短い羽が一枚ついている。

 シャテラリア国正式弓隊長服。

「うわぁかっこいい!!!」

「うんうん、よく似合ってるわ」

「さすが、初心者警備隊ギルドの隊長」

 ミリンの言葉に軽く首を振りながら、アレキサンダーは口を開く。

「もう、隊長じゃない」

「私にとって、アレくんはずっと隊長よ」

「うん、いまも私たちのリーダーやってるし!」

「そうそう、君は根っからのリーダーなんだよ」

 そう言いながら微笑む3人につられて、アレキサンダーも軽く微笑む。

「ありがとう。それで?ユイ、集まったはいいがこれからどうするんだ?」

「クリスマスイベントをやるのもいいかと思ったんだけど、もしよかったら、みんなでミッション3をやってみない?」

「ミッション3か…」

 アレキサンダーはあごに手をやって考え込む。

 不特定の期間をあけてバージョンアップを繰り返し、国からのミッションや村人からのクエストが追加されつづける、進化するゲーム。

 それが『オートマトン -Online-』だ。

 つい数ヶ月前のバージョンアップで追加されたばかりのミッション3は現行のラストミッションといわれている。

「それいいかも、たしかミッション3をクリアすると気球に乗れるようになるのよね?そうしたら世界中の町や城のイルミネーションが空から見られるわ」

「でしょ!!いいよね!!」

「うん、俺もいいと思う。でも、ユイは知ってるとおり俺レベル30代だぞ?大丈夫か?たしかミッションのラストは戦闘があったよな?攻略のホームページでちらっと見た気がする」

 ミリンはそう言いながらアレキサンダーを伺う。
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