オートマトン -Online- 推敲中

「たしか、レベルは必要ないはずだ。ミッション３で必要とされるのはプレイヤースキル。個人の戦闘における状況判断力と行動力のみが試される」

「できるかな」

　不安そうなミリンの背中をユイはバシバシ叩く。

「大丈夫大丈夫♪ミリンさん、いざとなったら、その場で調理スキル使って回復薬を大量に合成してがぶ飲みしちゃえばいいんだから」

「うはっ(笑)おっけい(笑)」

「ミッションはどこで受けるのかしら？」

「ミッション２と同じ。シャテラリア城、城門に立っている第一部隊のサルマゴナからだ」

「あぁ、あの人ね」

「そろそろ、出発するか。」

「ちょっと待って！」

　ユイが手を上げて静止を促す。

「まだ、ルークが来てないよ？もしかしたら、祭の件でログインしづらいのかもしれない。……みんなのプレイ時間を削ることになって申し訳ないんだけど、もう少しだけ待ってみよ？」

　その慌てた様子にキャスケットは噴出す。

「ほら！ユイが心配してるじゃない？早く出てきなさいよ！」

　キャスケットは手前の丘の石造りの風車に向かって声を張り上げた。

　ユイとミリンは風車の陰から出てきた男を見て、「あっ」と声を上げる。

「もう、パーティーには誘ってあるぞ」

　アレキサンダーは、しれっとした顔で言ってのける。

「ルーク！！」

　風車の陰から出てきて、ルークはゆっくりと歩み寄ってくる。

「いつから来てたの？！」

「私が来たときには、もういたわよね？」

　キャスケットのもったいぶった言葉にルークは軽く舌うちを返す。

「じゃあ、行くか」

　アレキサンダーを先頭に、キャスケット、ユイ、ミリンの順に歩き出す。

　なだらかな丘をひょいひょいとのぼっていく。

「おい！」

　ルークは立ち止まったまま、その背に声を投げつける。

「俺にはあいさつなしかよ」という言葉が喉から出掛かって、ルークはそれを必死に飲み込んだ。

　前を行く４人がつけたばかりの白い丘の斜面の足跡をじっと見据える。