オートマトン -Online- 推敲中
「……ありがとう」

 ルークは自分の喉から出た言葉に苦笑する。

 控えめに流れる鈴の音や舞い落ちる雪の音にさえも、負けてしまいそうな声だった。

「この間の……まつりの…。俺のせいで、ギルドが……」

 雪がフワフワと自分の足元へ落ちていく。

「……礼は、言ったからな。後から聞いてなかったとか、言っても……」

 声は自分でも聞き取れないほど、小さくなっていった。

 ルークは息を吐き出して、歩き出す。

(なんで俺、ここに来たんだ。どうせ、俺なんか……。外国人って言う肩書きがないと、結局……)

 空に助けを求めるように視線を上げた瞬間、ルークは、しまったという顔になった。

 聞こえるはずがなかったのに、皆が、ルークを振り返り見下ろしていた。

 アレキサンダーとキャスケットは満足そうに微笑んでいるし、ミリンも妙に大人じみた表情で笑っているし、ユイにいたっては、いい事聞いたといわんばかりにニヤニヤしている。

(聞こえてるなら聞こえてるって言えよ!)

 ルークはできる限りの速さで丘を上りきる。

 あっという間にアレキサンダーをも追い抜かして、足跡がまたついていない雪で覆われたまっ白な草原を突き進む。

 火が出そうなくらい顔が熱い。

 何事か後ろで示し合わせる声がしたかと思うと、ユイとキャスケットが声をそろえて言い放つ。

「「ルークのサンタ服かわいいー♪」」

『メリーの草原』に黄色い声が響き渡る。

 ルークは前を向いたまま、力の限り声を張り上げる。

「うるせー!!!」

 サンタ服なんて着てくるんじゃなかった!

 いつもの装備の。

 ありのままの姿でもいいんだ。

 僕はもう、仲間なんだから。
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