オートマトン -Online- 推敲中
 雪は止んでいた。

 変わりに無数の星屑が空に見えた。

 星明りに照らされた白銀の大地の上にシャテラリア城は分厚い年代記にそぐう外壁をさらし、何事もなかったかのように、月のように皓々と輝いていた。

「ユイー!こっちこっち」

 どうやらミッションをクリアしたのはユイが最後だったようで、城の西側にある気球乗り場では、すでにみんながユイを待っていた。

「ミッションクリアおめでとう」

 キャスケットがそう言うと、アレキサンダーもミリンもルークもユイに喝采を送った。

 ユイはそれに優雅にお辞儀をしてから、みんなにも喝采を返す。

「まさか、希望のシャテラリア城の中があんなに廃れてたなんて」

 ユイの言葉にミリンもうなずく。

「どおりで、ふだんは閉ざされているわけだ(笑)」

「いやいや、ムービーで廃城だっただけだから、ふだんは普通のお城でしょ?」

 キャスケットがそういうとルークはにやりとしながら口を開く。

「いや、案外、製作者側は城の中、なんにも作ってないかもしれない。現にミッション以外で城の中に入れたことないし」

「ありえる」

 アレキサンダーはルークに賛同する。

「世界の希望であるはずの太陽国のシャテラリア城にはそもそも希望なんてなくて、本当の希望は、『オートマトン -Online-』でキャラクターを操るリアルの俺たち自身にあったわけだ」

「このゲームにそんな深い意味があるのか?」

 ルークが笑いながら言うが「あるある」とユイは満面の笑みで答え、次に気球を指差した。

「ねぇ、はやくあれ乗ってみよ?♪」

「ああ」

 アレキサンダーから順に気球乗り場の中へ入っていく。
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