オートマトン -Online- 推敲中
 真っ黒でごつごつした岩肌の山道を火口に向けてのぼっていく。

 すぐそばをドロドロの溶岩が流れている。

 突然噴出したガスに驚いて、もう少しで足を溶岩の中に落としそうになった。

 オートマトンのアルメェールを先頭にしてユイ、アカネ、ミリンと続き、ルークがしんがりを務めている。

「回復薬たくさん用意してきたのに」

 モンスターとの遭遇のたびに戦闘を繰り返してきたため、回復薬がそこをつきはじめていた。

 なんとか隠れながら行けばそれほど消費せずに来れたのだろうが、それでは面白くないという理由でルークに却下されていた。

 そして、理由はもう一つ。

 トルーワ火山の前のエリア、コロナタ森林で最初にモンスターと遭遇したとき、ミリンの戦う様子を見てユイは唖然とした。名の知れた調理の高スキルプレイヤーが、まさか、ユイと同じ30レベルだとは思わなかったのだ。

 大地の亀裂をひょいと飛び越えながら、ルークが言う。

「そのレベルでどうして調理スキル上げれたんだ?モンスターを倒して金を稼げなきゃ、調理の素材も買えないだろ?あ、RMT?」

「まさか(笑)需要と供給をしっかり見極めていれば、おのずと儲けられるアイテムが分かる。それを、先手を打って買い占めて売ったり、季節物のアイテム(例えば、ヴァレンタインならチョコレート)を他のプレイヤーより早めに売り出したりすれば楽に素材代ぐらいは稼げるんだよ。キャラクターを強くするだけが、『オートマトン』の遊び方じゃないんだ」

「なるほど♪私なんて所持金が1万Gold超えたこと無いです」

 アカネが感心したように声を発したが、ミリンは否定する。

「そんなことしてるから廃人になって、リアルで離婚されるんだ」

「うは(笑)」

 ルークの笑い声を発したとたん、ユイたちの右の山肌にぽっかりと空いた洞窟に、何度もその声が木霊した。

 はっとして全員の視線が洞窟の暗闇に釘付けになる。

 キャスケットと来た、地下へ続く洞窟とは大きさがまるで違っていた。
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