オートマトン -Online- 推敲中
「まぁ、ソロって言っても、まったく関わらないわけじゃない。フレを作らないとか、戦闘中に助けを求めないとか、その程度で、結局はプレイヤーからアイテムを売り買いしてるわけだから、それなりにオンラインゲームとして楽しめるんだろう」

 アレキサンダーが前方を見据えたまま足を止めた。

 ユイは灰色の雲が行く先に集まっているのを見た。

「もう少ししたら『ガマール沼』だ。あそこはいつも雨が降って視界が悪いし、敵も強い」

「どのくらい強いの?」

「そうだな……見つかったら、即死」

「!!!!!」

「俺にぴったりついて歩いて、もし敵に見つかったらその場でじっとして動かないこと。下手に逃げ回ると、他の敵が集まってきて打つ手がなくなるから」

「はいっ」

 雨のにおいがする。

 前方にかすかに見える湿地帯は薄暗く、茶色い土に、たっぷりと濁った水がたまり生息している植物も違ってみえている。

 本当にこの先には、太陽神界の人々の生きる希望、太陽の恩恵を受けて燦然と輝くシャテラリア城があるのだろうか。

 ユイは緊張した面持ちでアレキサンダーの後ろを歩き出した。
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