オートマトン -Online- 推敲中
 ユイは、まるで大きな水溜りを横切っているような気がしてきた。

 枯れているのかと思うような色をした葉を持つ植物が、水の上に蓮のように広がっている。

 丸太を倒してつくった道が湿地の奥まで続いており、2人は慎重にその上を歩いた。

『メイの草原』を夜に出発していれば、ここを明るい昼に通過することもできただろうに、ユイたちはスコールのような雨でただでさえ見えにくい視界の中で夜を向かえ、ますます進行速度は遅くなっていった。

 時折頭を掠めるように、大きなコウモリが飛ぶのをひやひやしながらやりすごし、暗闇の中でうごめく恐竜のようなモンスターが行き過ぎるのを息を殺して待った。

 見つかって攻撃されたらユイが倒されるのであって、ゲームをしている結衣が死ぬわけではないと分かっているのに、緊張と恐怖で結衣の手は振るえが止まらなかった。

「しゃべる余裕なさそうだな」

「ごめんなさい(笑)移動することに集中しちゃって」

「いいよ、無理にしゃべらないで。敵に絡まれないことが最優先だから(笑)」

「強くなったら、初心者警備隊みたいに、私もこのエリアで初心者を守ってあげられるようになるのかな。ミッションのときも、結局またルークに助けられちゃったし。強くないと誰も助けられないね」

「自分も守れないしな」

 アレキサンダーは固い口調で言った。
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