オートマトン -Online- 推敲中
 アレキサンダーは丸太の道をジャンプして下り、湿地帯に着地した。

 ユイが下りるのを待って前方の大きなガジュマルのような木の下を指し示した。

「雨が止むまであそこで少し休憩しよう。この先の『スカイグレープ耕地』は雨天の時に強くなるモンスターが多いから。」

「はいっ」

 ユイは明るく返事をした後、うんざりしたように肩をすくめた。

「これでやっと沼は終わりですよね?もう足元ドロドロ」

 アレキサンダーの後に続いて、大きな木の下までやってくると、ひさしぶりに乾いた草の上に立てた。ユイはアレキサンダーの隣に並んで外を眺める。

「……ここってモンスター来ませんよね?」

「来ないよ」

「じゃあ、ちょっとトイレに行ってきてもいいですか?」

「いいよ。俺も」

 2人のキャラクターは次の瞬間、不自然に動かなくなった。

 操る人間が離席し、動くことができなくなった2体のキャラクターは口を閉じまま、遥か前方の真っ黒な空を見据えていた。

 その空に、光の道が伸び始めたのはそれからすぐの事だった。

 太陽神界の住人の中には、これを『天の川』と呼ぶ者もいる。

 魔力の光を帯びた気球が次々に、シャテラリア城から飛び立っているのだ。

 この激しい雨を苦にもせず、悠然と暗い雲の下を次々に星のように流れていく。

 大陸を揺るがした戦争の結果、トルーワ火山の地下に眠っていたという古代の魔力を帯びた石はシャテラリア国のものになった。

 ただでさえ太陽の運行を操る太陽王のいるシャテラリア国は、この魔石の力を利用した特殊な移動手段を得て、世界の中枢という位置は不動のものとなったのだった。
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