オートマトン -Online- 推敲中
 ユイのキャラクターが動き出した。

 続いてアレキサンダーも動き出す。

「ただいま」

「おかえりなさい♪」

「俺早かったはずなのに(笑)男よりトイレはやいってどういうこと?」

「自宅にいるから、メイク直さなくていいからじゃない?(笑)―――うわぁ、雨さらに激しくなってますね」

 頭上で茂った葉の間から、大きな雨粒が時折ユイの体に落ちてくる。

 立ち往生しているユイの目の前を、気がつけばカシャカシャと音をたてながら、冒険者がシャテラリア国を目指して通り過ぎていった。

「傘っていうアイテムがあればいいのに」

「まあ、濡れるのはキャラクターだから」

「あの人かわいそうだよ」

「あのさ……さっきから気になってたんだけど、ユイさんって自分を大切にできてる?」

「へ?」

「いや、やけに他人に親切にしようとしてるから」

「うーん、自分のことは、今はすごい嫌いだけど、人に親切にして喜んでくれると嬉しいし」

 アレキサンダーは、やはりという表情でユイを見下ろした。

「自分のことが好きで自分を大切にしようと思うから、その延長線上にいる周りの他人も大切にしようと思えるんじゃないかな?友人が悲しんでいると大好きな自分が楽しくないから、悲しみから開放してあげようとか思える。きついこと言うようだけど、ただ親切にしてそれで自分を保ってるようなら、それは偽善だし、依存だと俺は思う。」

「それっていけないことなの…?」

「いけなくはない。ただ、それって苦しくないか?どんなに他人に親切にしても、自分のことを大切にできてなければ、いつまで経っても、どんなに頑張っても、満足しないはずだから」
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