オートマトン -Online- 推敲中
 ユイは思い切って口を開く。

「アレキサンダーさん、私、どうしても自分を好きになれないんです」

 アレキサンダーは顔を空に向けながら、耳を傾けている。

「私、前のバイトでうまくいかなくって」

「何が?」

「……人間関係」

「上の人にいじめられたとか?」

 なんで分かったの、と言いたげな様子のユイに、アレキサンダーは口を開く。

「いや、さっきネットゲームのイジメにすごい反応してたから。それで人間関係なら大方そんなところかと」

 アレキサンダーはユイを見つめながら続ける。

「なにがあったか知らないけど、どこもそんなもんだと思う。先輩だって後輩にわざわざ自分が培ってきたものをタダで教えたくはないだろ。だから、教えてもらおうって姿勢はやめて盗まないとだめだ。それに分からなかったら自分で調べる、って、普通に考えたら簡単に言えるけど…………まあなぁ、いけずな人もおるからなぁ」

 ユイはアレキサンダーに軽く微笑む。

「もう忘れて早く次に行きたいのに、どうしても思い出しちゃって、就職活動ができないの。こんな状態の自分が、本当に情けなくて大っ嫌い」

 ユイはそのまましゃがみこんだ。

 ひざを抱えるようにして自分を抱きしめる。

「そんなにきつかったならすぐ仕事辞めればよかったのに。ユイさんは、そんなにトラウマになるぐらいまで、耐え続けたんだな」

 アレキサンダーはユイのキャラクターを後ろから包み込むように座り込んだ。

 ユイが照れながら口を開く。

「なんか抱きしめてるみたい」
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