オートマトン -Online- 推敲中
「俺が聞きたいよ」

 結衣は驚いて声がした背後を振り返った。

「お兄ちゃん!」

 スーツを着た青年が結衣を見下ろしていた。

「ちょっと、ノックぐらいしてよ」

「そういう問題じゃないだろ?夜中までなにやってんだよ、最近様子がおかしいって母さんが心配して、俺んとこまで連絡が来たんだよ。たかがネットゲームのせいで、せっかくの週末になんで俺が帰省しなきゃならないんだ?」

「回線切ったのお兄ちゃんなの?!!超うざい!!!」

「はいはい、うざいですね。だからって泣くことないだろ?」

「ち、違うわよ!お兄ちゃんのせいで泣いてるんじゃないの!」

「ふーん」

 翔太は結衣のベットにどかっと腰を下ろし、ネクタイをはずした。

「それで?就職活動ができないんだって?」

 結衣は残してきたアレキサンダーのことが気になって画面からなかなか目が離せない。

(どうしよう、これじゃメッセージも送れないよ)

「……誰に聞いたのよ!っていうか、それって今話さなきゃいけないこと?!明日にしてよ!どうせまだ帰らないんでしょ!!!」

「ふーん、就活の話題をしただけで、こんなに過剰に反応するのか」

 翔太はベットから立ち上がる。

「わかった。今日はもう遅いから明日でいいよ。その代わり、明日は1日俺に付き合ってもらう」

「1日?何するの?」

 翔太は部屋の扉に向かいながら口を開く。

「カウンセリングに連れて行く」

「え?!!いいよ、そんなとこ行かない!」

「―――ああ、それから」

 翔太は扉の外に出て戸を閉める前に、顔を覗かせた。

「今日はもうゲームするなよ」
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