オートマトン -Online- 推敲中
清潔感のある縦長の待合室には、観葉植物が作為的に配置され、静かなクラシックが流れていた。
診察室の扉の近くに風邪気味の若い女性が1人座っている。
受付のそばにはスーツ姿の若い男性、その後ろの席には頭の禿げ上がった40代ぐらいの男性が座っていた。
想像していたよりは、みなそれほど服装は乱れていない。
一見した感じは落ち着いていて、つけっぱなしのテレビや新聞を見ている。
受付の前でしり込みをしている結衣を置いて、翔太は1人進み出て「はじめてなんですけど」と切り出した。
「保険証はお持ちですか?」
カウンター越しに清楚な女性が柔らかい表情でそう言うと、翔太は背筋を伸ばして返答した。
「はい」
それに合わせて結衣がかばんからのろのろと保険証を取り出す。
「待っている間、こちらに記入してください」
差し出されたバインダーを結衣は受け取り、部屋の壁沿いにならんだ机の前の椅子に座った。丁度目の前に窓があったが、期待していた海は見えなかった。
あきらめて、まず氏名、生年月日、住所、日付を記入していく。
待合室で1人背を向けている結衣は背中に痛いほど視線を感じていた。
視線といっても目で見ているわけではない。
待合室で診察を待っている3人それぞれが、耳を澄ませて新しく来た結衣の一挙一動を調べているような、そんな雰囲気が伝わってくる。
診察室の扉の近くに風邪気味の若い女性が1人座っている。
受付のそばにはスーツ姿の若い男性、その後ろの席には頭の禿げ上がった40代ぐらいの男性が座っていた。
想像していたよりは、みなそれほど服装は乱れていない。
一見した感じは落ち着いていて、つけっぱなしのテレビや新聞を見ている。
受付の前でしり込みをしている結衣を置いて、翔太は1人進み出て「はじめてなんですけど」と切り出した。
「保険証はお持ちですか?」
カウンター越しに清楚な女性が柔らかい表情でそう言うと、翔太は背筋を伸ばして返答した。
「はい」
それに合わせて結衣がかばんからのろのろと保険証を取り出す。
「待っている間、こちらに記入してください」
差し出されたバインダーを結衣は受け取り、部屋の壁沿いにならんだ机の前の椅子に座った。丁度目の前に窓があったが、期待していた海は見えなかった。
あきらめて、まず氏名、生年月日、住所、日付を記入していく。
待合室で1人背を向けている結衣は背中に痛いほど視線を感じていた。
視線といっても目で見ているわけではない。
待合室で診察を待っている3人それぞれが、耳を澄ませて新しく来た結衣の一挙一動を調べているような、そんな雰囲気が伝わってくる。