オートマトン -Online- 推敲中
「どうぞ」
40代後半ぐらいだろうか、白髪の混じった黒髪、顔には黒縁メガネをかけ、白衣を羽織った男がテーブル越しに、椅子を勧めてきた。
結衣は男の名札を見ながら腰を下ろす。
「イマイです。バインダーを」
結衣は『今井 忠』と書かれた名刺を受け取り、言われるままにバインダーを差し出した。
「狩野結衣さん」
バインダーに挟まった用紙をめくりながら男は口を開いた。
「これによれば薬の治療も希望しているみたいだね」
「はい。治るならなんでもします。もう忘れたいんです。バイト先であったこと全部」
「―――そう」
男は腕を組んで目をつむり、何事か考えているようなそぶりをはじめた。
「カウンセリングも希望しているようだけど、薬もカウンセリングも途中で止めたらかえって体に悪い。君は途中で投げ出したりしないかな?」
「はい」
男の視線に耐えられなくなって、結衣はうつむいて自分の手を見ながら答えた。
「なら、やってみよう。カウンセリングは週1回、毎週土曜にする?他の曜日でも予約を入れればできるけど」
「いえ、平日はまだ授業があるので土曜がいいです」
結衣は自分でも声が震えているのが分かって恥ずかしくなった。
男は結衣が視線を避ければ避けるほど、ますます結衣を凝視する。
40代後半ぐらいだろうか、白髪の混じった黒髪、顔には黒縁メガネをかけ、白衣を羽織った男がテーブル越しに、椅子を勧めてきた。
結衣は男の名札を見ながら腰を下ろす。
「イマイです。バインダーを」
結衣は『今井 忠』と書かれた名刺を受け取り、言われるままにバインダーを差し出した。
「狩野結衣さん」
バインダーに挟まった用紙をめくりながら男は口を開いた。
「これによれば薬の治療も希望しているみたいだね」
「はい。治るならなんでもします。もう忘れたいんです。バイト先であったこと全部」
「―――そう」
男は腕を組んで目をつむり、何事か考えているようなそぶりをはじめた。
「カウンセリングも希望しているようだけど、薬もカウンセリングも途中で止めたらかえって体に悪い。君は途中で投げ出したりしないかな?」
「はい」
男の視線に耐えられなくなって、結衣はうつむいて自分の手を見ながら答えた。
「なら、やってみよう。カウンセリングは週1回、毎週土曜にする?他の曜日でも予約を入れればできるけど」
「いえ、平日はまだ授業があるので土曜がいいです」
結衣は自分でも声が震えているのが分かって恥ずかしくなった。
男は結衣が視線を避ければ避けるほど、ますます結衣を凝視する。