オートマトン -Online- 推敲中
 海を眺めてから帰宅するとすでに夜になっていた。

 結衣は歩きつかれた足をベットの上に投げたした。そのままごろんと後ろへ倒れるようにねっころがる。

 下の階のリビングから、まだ争う声が聞こえている。

 結衣がカウンセリングに通うことをいまさっき知らされて不機嫌な父と、それを説得する母と兄の声だった。

「結衣はそんなとこ行く必要ないだろう!」

「ならあなたが仕事みつけてあげたらどうなの!!あの子が仕事を探してるときの様子 知らないでしょ?!!涙流しながら過呼吸になって本当に苦しそうなのよ!!!」

「2人とも、結衣が行くって決めたことなんだからもういいだろ?」

「お前は何しに帰ってきたんだ、余計なことばかりして!!」

「は?俺が悪いのかよ!俺はかあさんに頼まれてわざわざ帰ってき―――」

 結衣はがばっと起き上がるとかばんから携帯を取り出し、祥平に電話をかけた。

 呼び出し音が1回聞こえただけで、ぷっと音がして、耳が多くの音を拾い始めた。

『もしもし』

「もしもし、今外?」
< 80 / 197 >

この作品をシェア

pagetop