オートマトン -Online- 推敲中
「ええ?」
美香は微笑んだまま眉根を下げた。
「7月の上旬に太陽神界で七夕のイベントがあって、浴衣の装備が一般プレイヤーに配布されたの。それ着て、アレキサンダーさんと町の傍の小川で金魚釣りをしたり、夜に海岸の砂浜に座って星を眺めたり―――楽しかったなぁ」
結衣は夢見るような気分で続ける。
「わたし美香より授業の数多いけど、今期はどの授業も最後のテストはなくて、レポート提出だけだから、けっこう時間があってね。ここ2週間はほとんど太陽神界にいたの。廃人って言われてる料理人のミリンさんと山に登って太陽が現れる瞬間を見たり、PlayerKillerのルークと一緒にミッションやったり。最近よくルークと話すようになったんだけど、この間部活がどうのって言ってたから、もしかしたらルークはリアルで高校生なんじゃないかって思い始めたよ」
桜の並木の間から、たくさんの声が聞こえだした。
視線を投げれば校庭の隣の野球場で、ユニホームを着た学生が野球の練習をしている。
「知り合っても2度と会えないままになっちゃう人もいるけど、だからこそ、時間を共有してる瞬間を精一杯楽しもうって思えるんだ。もう、太陽神界、やめられないよ」
「確かにゲームってやり始めたら止まらないよね、小学生の頃はよくやってたからそれは分かる。2日ぐらいでクリアーしてたもん」
「そうそう、美香ってゲームしてるイメージまったくないけどやってたんだよね。そういうところかなり好きだよ」
2人で笑いながら歩いていると、「ここだよー」と高く優しい声が投げられた。
見れば校庭に下りる階段に腰をかけて、春奈と洋子が手を振っていた。
「あんな日向でお弁当食べたら日に焼けちゃうよ。――――こっちで食べようよー!」
美香が階段の2人に向かって木陰を指差す。
ごそごそとカバンを持ち上げ、立ち上がる春奈と洋子を、まぶしすぎるくらいの陽光が照らし出している。
結衣はそれを見た瞬間、胸の中が急に冷たくなり、シクリと痛くなった。
陽光の中で手を振り、笑顔で去って行った背の高い黒髪の狩人。
彼とはもう、2度と会えない。
美香は微笑んだまま眉根を下げた。
「7月の上旬に太陽神界で七夕のイベントがあって、浴衣の装備が一般プレイヤーに配布されたの。それ着て、アレキサンダーさんと町の傍の小川で金魚釣りをしたり、夜に海岸の砂浜に座って星を眺めたり―――楽しかったなぁ」
結衣は夢見るような気分で続ける。
「わたし美香より授業の数多いけど、今期はどの授業も最後のテストはなくて、レポート提出だけだから、けっこう時間があってね。ここ2週間はほとんど太陽神界にいたの。廃人って言われてる料理人のミリンさんと山に登って太陽が現れる瞬間を見たり、PlayerKillerのルークと一緒にミッションやったり。最近よくルークと話すようになったんだけど、この間部活がどうのって言ってたから、もしかしたらルークはリアルで高校生なんじゃないかって思い始めたよ」
桜の並木の間から、たくさんの声が聞こえだした。
視線を投げれば校庭の隣の野球場で、ユニホームを着た学生が野球の練習をしている。
「知り合っても2度と会えないままになっちゃう人もいるけど、だからこそ、時間を共有してる瞬間を精一杯楽しもうって思えるんだ。もう、太陽神界、やめられないよ」
「確かにゲームってやり始めたら止まらないよね、小学生の頃はよくやってたからそれは分かる。2日ぐらいでクリアーしてたもん」
「そうそう、美香ってゲームしてるイメージまったくないけどやってたんだよね。そういうところかなり好きだよ」
2人で笑いながら歩いていると、「ここだよー」と高く優しい声が投げられた。
見れば校庭に下りる階段に腰をかけて、春奈と洋子が手を振っていた。
「あんな日向でお弁当食べたら日に焼けちゃうよ。――――こっちで食べようよー!」
美香が階段の2人に向かって木陰を指差す。
ごそごそとカバンを持ち上げ、立ち上がる春奈と洋子を、まぶしすぎるくらいの陽光が照らし出している。
結衣はそれを見た瞬間、胸の中が急に冷たくなり、シクリと痛くなった。
陽光の中で手を振り、笑顔で去って行った背の高い黒髪の狩人。
彼とはもう、2度と会えない。