アイスクリーム男子の作り方【アイスクリームの美味しい食し方番外編】
「やぁ、キィ帰ってたのか。
おかえり。」

店長は、屈託のない笑顔を浮かべ
朝から俺の朝食を作りに
リビングに入った。

先ほどの犯罪者は、
借りてきた猫のように
おとなしく、頬を赤らめていた。

「えぇ、昨日の夜遅くに。
いつも新のことすみません。」
と髪をかきあげた。

朝からばっちりメイクをした
笑顔を店長に向け、
めかしこんだワンピースなどを
褒めなさい、とばかりに見せつける。

「今日も世界で一番綺麗だよ。」
愛おしそうに姉を見つめる店長。
店長は、それからも、
姉の再婚相手のことを口にしない。

姉がヒステリックを起こすからだ。

「ふふっ。」
姉は嬉しそうに身体をくねらせる。
そして、興奮し切ったのだろう、
鼻血を出して、倒れたのだ。

店長は慣れた様子で、
姉を部屋へと連れて行った。


訳がわからない。
姉の行動も、
店長の気持ちも、
離婚した理由も、
結婚した理由も。


「…。」

あの血が俺にも流れているのか。
俺は、自分の手を見てぞっとした。
< 14 / 87 >

この作品をシェア

pagetop