アイスクリーム男子の作り方【アイスクリームの美味しい食し方番外編】
「ごちそうさまでした。

で、家の人は?」
ご飯を食べ終えて、周りを見回した。
六畳ほどの和室部屋。

今時珍しいほどのレトロ物件。

これで、両親揃ってるとは、
思えねーな。

きっと母親が1人で育ててるのだろう。


「お母さん、朝まで帰ってこないの。
昼間も夜もお仕事なの。」

そう言って、
女の子はぬいぐるみを抱きしめた。


「お前、まさか、それで、お母さんを探しに?」

俺は少し呆れて、
不用意にそんな言葉を発してしまった。




ぼたぼたぼた…



「は?嘘だろ?」



信じられない。
同い年の女の子が、
鼻水を垂らして、
涙をこぼしている。


「ひっ…くっ、」

「おいおい、
さっきガキじゃねーって言ってたろ?
泣くなよー!」

俺は、どうしたら良いか分からず、
おろおろと狼狽えた。


「んっく…

だって、お母さんに会いたいっ
ん…だもっ。

だけど、お母さんに心配かけ…たら
ダメだか…ら。

いつもは、ちゃんとこの子と…
待ってるもっ…」

その子は苦しみと同じだけ、
ぬいぐるみを抱きしめた。

必死でこらえていたんだ、
そう思ったら…

あ、ダメだ。
俺、最後の一枚のカードが敗れた気分。


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