アイスクリーム男子の作り方【アイスクリームの美味しい食し方番外編】
「昨日の夜だよ。
もう、あっという間でね。

何?木暮さん?
2人ともいなかったよ。
お母さん、先月入院してさ。
ま、娘さんしっかりしてるから、
自分でなんとかするだろうさ。」

昨日の夜、
隣の部屋から出火し、
木造アパートはあっという間に
黒焦げになった。

原因は火の不始末。

真っ黒だ。
全部燃えてしまっている。


この数ヶ月、
ここには来ていなかった。

まさか、
毎日仕事に出ていたお母さんが
入院してるなんて思わなかった。

「もし、彼女が
家を探すことがあったら、
紹介しますのでご連絡ください。」

店長はそう言って名刺を
大家さんに渡した。


やっぱり俺は子どもだ。
全然分かってなかったし、
力も名刺も肩書きもない。


俺は、瓦礫の山を剥がした。
< 54 / 87 >

この作品をシェア

pagetop