ドロップは涙味
それから、午後の授業には出ず、体調不良という事で早退した。

とても授業を受ける気には、なれなかった。

人気のない電車に乗り、唇を噛み締めていた。

一瞬でも気を緩めたら、涙がこぼれそうだから。

「ただいま…」

家には誰もいない。

「そっか。」

お母さんはまだパートに出かけている時間だ。

私服に着替えて、まだ食べていなかったお弁当を自分の部屋で食べた。

お母さんの優しい卵焼きの味が、ぼろぼろの心に染みる。

「うぅっ…」

涙が、溢れた。
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