ドロップは涙味
「何?弘樹くん」

レポートを書き終えた私は、弘樹くんの瞳を見つめる。

「最近、元気ないから、どうしたのかなって。
俺なんかで良ければ、話聞くよ?」

私は大きく息を吸った。

「…じゃあ、少しだけ、話してもいい?」

「もち、おっけー」

サーッと、風が流れる。

夕焼けに染まる教室。

…まるで時が止まったみたいだ。

「私…私ね?中学から付き合ってた人がいたんだけど…
私はその人のことすっごく大切に、壊さないようにって、頑張ってたのに…っ」

「…うん」

「その人…私との約束も忘れて、女の子と楽しそうに笑ってて。
『約束は?』って言ったら、『え?そんな約束したっけ?』って。」

「それってもしかして、ひーちゃんが早退した日のこと?」

「うん…っ」



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