ドロップは涙味
だんだん、夕焼けがにじんできた。

「ひーちゃん…」

弘樹くんが、かすれた声で私の名前を呼んだ。

「うっ…うぇぇ…っ」

嗚咽が、泣き声に変わる。

「ひーちゃん…」

弘樹くんはもう一度だけそう言って、私を包んだ。

「ひ、ろきくっ…」

「日向……もう、泣くな。俺が、守ってやるから…」

呼吸が苦しい。

腕の力が強くなったからなのか。

それとも…

「お願い、守って…」
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