ドロップは涙味
私のせいで、泣かせちゃったんだ……。










赤くなった目で、私に笑いかける彼を見ると、苦しくてたまらなかった。











「ごめんね…」












小さな声で、呟いた。











「ん?なんか言った?」











「ううんっ、何でもないよ?」










そうごまかして、私は圭に喋り続けた。










今日の天気や、かわいい看護師さんのこと。









私達はお互いに、病気のことには触れないようにしていた。




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