ドロップは涙味
「弘樹、くん。俺が悪いんだ。ごめん。」

「弘樹くん?気持ち悪ぃな。お前になんか、名前も呼ばれたくねえ。」

「ごめっ…「分かったら、さっさと出てけよ。」

「ちょっ、勝手にそんな…」

「分かったよ。ごめんね、日向。」

圭は私達の間をすり抜けていった。

「おい、日向。どういう事だよ」

弘樹くんの冷たい瞳が、私を睨みつける。

「私が今日学校休んだから、お見舞いに来てくれただけ!」

「お見舞いだけで、家に上がらせるんだ?」

「圭は、お母さんも知ってるし…」

「ハッ。嘘つくなら、もっと上手くつけよ。」

「嘘なんかじゃないし!」

圭に渡していたハンカチが、床に落ちている。

きっと圭が、困らせないようにって、落としていったのだろう。

それを、弘樹くんに投げつける。

「弘樹くんは、自分の気持ちばっかり!」

「っんなの!日向だってだろ!平気で浮気してんじゃねえか!」

「浮気じゃない!圭は友達!もういい!帰って!」

「…日向…」

しぼりだした声で、弘樹くんが私を呼ぶ。

「帰って!」

弘樹くんを家から押し出す。

バタンッ。

「はあ、っはあ…」

…なんで、こうなっちゃうんだろー。

やっぱり、私の周りはいつも嫌なことばかりだ。
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