【短編】森田当麻の奇妙な出逢い



私は慌ててタオルを2人分持っていく。

不機嫌そうなお兄ちゃん。

「ったく……。自殺じゃないかもなんて無駄な刑事の勘働かせたらこれなんだから」

文句を言っているのは、きっと皆藤刑事のことだと思う。
お兄ちゃんを信頼してよく捜査を一緒にしている。

そういえば朝に皆藤刑事から「事件だ」って電話がかかってきて、お兄ちゃんと優衣ちゃんが現場にむかったんだっけ……。

「事件はどうだったの?」

「どうもこうもない。完全な自殺。俺の出る幕なんてなかったのに。珍しく信じてみればこれだ」

なるほど。
自殺で片付けられていた事件に納得がいかなかった皆藤刑事が『殺人事件だと思う。これは俺の刑事の勘だ』とでも言ってお兄ちゃんを巻き込んだ。
結果、変わらず自殺で、帰ってる途中に雨にあってずぶ濡れと。

そりゃ不機嫌にもなるな。
同情するよ。

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