【短編】森田当麻の奇妙な出逢い




そう言って自分の椅子に座ると、机に突っ伏してあっという間に寝てしまう。

「あー!もう!風邪ひくのに……」

私はまったく、とため息ついてから優衣ちゃんに振り返る。

「お風呂沸かそうか?風邪ひいちゃうからね」

「あ、あの……」

「ん?」

優衣ちゃんが少し顔を赤らめながら、「気になります」と呟く。

「なに?」

「……社長と日向さんの出逢いって、どんなだったんですか?」

「どうしたのよ、急に」

思わぬ言葉に少し驚いてしまう。
優衣ちゃんは今まで私たち兄妹に深く何かを聞こうとはしてこなかったのに。

きっと私たち兄妹の悲しい過去を知っているからだと思う。
両親が殺害され、それぞれ別の里親に引き取られたということ。

優しい彼女のことだから、多分気をつかって聞いてこなかったんだと思う。

それでも私は出逢いを聞かれたことは嫌じゃなかった。

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