ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
翌日、健にもぐっさん情報を話した。


『そうっすね…俺も罰が当たったんすよ…ぐっさんの言ってること解る気がしますよ』


健はベランダで空を仰ぎながらしみじみ言っていた。


ぼくは思い出していた。

ミンクのママと旦那さん、同じ事を言っていた。
突っ張って生きたツケが回って来たのだと。


罰があたったんだと。


そしてもうひとつ、思い出した。

《幸子、ここで見張ってろ、誰か来たら直ぐに言えよ》

地元では有名な神社の奥。

ぼくは賽銭箱を横に倒した。
持ってきた大きなハンマーで箱の横を思いっきり何度も殴った。

丁度いい穴が空き、そこから手を入れて掴めるだけ掴んで袋に入れる。

何枚かだがお札も入っていた。

《ぶん!誰か来た!》

神主の奥さんだ。

袋を握りしめ一目散に逃げる。

《あっ!》

神社の裏にあったイチョウの木、そこに足を引っ掛け、見事に転ぶ。

握っていた袋が飛んだ。

ぼくは金は諦め、ひたすら走って逃げた。


もしもの場合に待ち合わせていた海岸沿いの雑木林。

幸子は大丈夫だったかな…

10分程過ぎた頃だろうか。

走ってきた。

良かった…
捕まってなかったのか。

《ぶん太…はいっ》
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