ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
スカートのポケットから盗んだ賽銭を出した。


《おばちゃんさ、ぶん太の逃げた方向にいったの…それで隙見てパクってきたよ》


賽銭を分けて、それで飯を食いに行く。ぼくの親も幸子の親も何も作ってくれる訳ではなかった。

家族団らんで食事…
有り得なかった。

特に幸子は、餓死しない程度の飯しか食ってない時期もあったような気がする。
それでも幸子はいつもニコニコしている。


賽銭泥棒をした小学6年生。

祭りの翌日だったので秋頃だっただろう。
盗んだ賽銭を使い終わった頃、不思議な出来事があった。

ぼくは最後のお金でコンビニに行き、パンなどを買って外にでると自転車が盗まれていた。

その日の夜…

コンコンッ!

部屋の窓を叩く。
幸子…

《ぶん太、入っていい?》

《いいよ》

窓越しにぼくの部屋に来る。

《今日さお弁当屋さん行ってのり弁買ったんだ、あん時のお金300円しかなかったし、んで弁当できるまで中で待ってんじゃん、その間に自転車盗られちゃった!》

《…》

《たった5分位だよ、ムカつく!》


実はぼくも…という話をした。

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