ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
夕方には着いた。

相変わらず周りはサラリーマンばかりだ。


しかし何故サラリーマンの連中はこんなに歩くのが早いのだろう。

とにかく、せわしない。


以前泊まったビジネスホテルにチェックインした。


会長の店はもう開いている。


益々緊張してきた。

暖簾をくぐる…


キッチンではおばちゃんがおでんの仕込み中。


『いらっしゃい』

『あっ、まだですか?』

『まだやったんやけど、ええよ、カウンターでええやろ?』
『ああっすみません…冷酒を一本』


会長はいない。


『今日、オヤジさんは…?』


『あ~っもう直ぐくるんちゃうん…なんか急用あるんやったら連絡入れたろか?』


『いや、別に急用とかじゃないんで…』

そう言っている間に帰って来た。

『いやぁ、散々や、あのクソパチンコ、火ぃでも付けたろかーホンマ腹たつわっ』

『大将~パチンコもええけど、お客さんまってはるよぉ』


『いや、俺が勝手に来たんで…』


会長はこっちを見たが…


『えらいすんません、何か用でも?借金でしたら今日は無理でっせ、パチンコでこてんぱんやさかい』


覚えていない訳ではないはず。

惚けているのだ…
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