ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
『ネタ…引っ張ってきてくんねぇか?』
『…』
『金は払うよ、どうだ?』
『…』

また松下を思い出していた。
『ゴト師の件だけどよ…もっと面倒見たっていいんだぞ…』

和人さんは親分にネタの事がバレたらヤバい事は、自分が一番良く分かっている。
和人さんの所の組はシャブだけはご法度だ。バレたら破門だろう。ガキの頃、世話になってなかったら、とっくに断わってるが…
ゴト師の件も、月に40万も小遣いを払っている。
組に話しを通せば200万は取られるだろう。
『和人さん…昔世話になってっから…今回だけ頑張りますよ。…でもこれで最後にしてもらえますか…?』
『あぁ…最後にするよ…』

和人さんは30万を置いていった。

ぼくは煙草に火をつけながらネタ屋に電話をする。
昔、松下が運びを頼まれたネタ屋だ。
普段は弥生経由で連絡を取っている。

100グラムともなると弥生には頼めない。

ネタ屋は明日夜10時に木更津までくる。

ネタ屋との電話を切ると同時に携帯に着信。
弥生だ。

『ぶん太ぁー大丈夫かぁー?随分酔っ払ってたんじゃないのー?』『あの程度の酒で酔っ払うかよ。』
『へぇー、その割にはアタシん家の前で座り込んでた、っていう目撃情報があるけどなぁー』
< 11 / 168 >

この作品をシェア

pagetop