ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
この店にも既に来ている事がわかった。

電話にも出ない。


何があったんだ…?

ぼくは健の部屋に向かった。

その間にも電話を何度かかけるが一向にでない。


部屋のチャイムを鳴らす。


もちろん居ないのはわかっていた。

車もないし…


ポストにはDMだろうか、ハガキや広告などがそのままになっている。


隣りの部屋から子供が聞こえる。

チャイムを鳴らしてみた。


『はい?』

若い女の声。

子供と玄関まで出てきた。


『あの…ちょっとお伺いしたいんすけど…隣りに住んでる人って見たことあります?』


『けんたん、けんたん』

子供が言う。


『一週間位前に荷物出してましたよ、実際引っ越したのかどうかわかりませんけど…この子がよくなついてまして』


もしあの時の事故がなかったら健も子供は大事にしてたろうな…


しかし、毎日事務所には普通に来てたけどな…


健にかぎって…


一旦事務所にもどるか…


戻りながら半年前、咲希が言っていた事を思い出していた。
弥生に事務仕事を任せていた、もちろんぼくもチェックはしていたが、ごまかしている感は全くなかったのだ。


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