ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
はじめての接吻
弥生は500万を借りる‘役’の人間を捜そう、と言っているがぼくは捜す気になれなかった。


なぜか?


今回、健が書いた絵は完璧だ。


沙希に健か野口、どっちかに気をつけろ、そう言われていたのにも関わらずなのだ。


健は疑わなかった。

完璧な絵を書いてぼくを裏切ったのだ。

連れて来た連中もどっかの乞食だろう。

捜すだけ無駄なのだ。


もちろん諦める訳も無い。


野口の情報も待つ。


サーファー達が朝方から集まりはじめている。


天気予報では九州地方に台風が上陸、そう言っていた。


なんでも、台風の2日位前が結構いい波がくるらしい…


そんなサーファー達を横目に見ながらエンジンをかける。

ついつい…朝になっちゃったな…


車を走らせ帰り道。

ぼくは鴨川有料道路に差し掛かった。


料金所で金を払おうとすると、反対車線で料金を払っている奴に見覚えがあった。


ゴト師の商売をやってるころの打ち子の1人だ。


しかも目があった。

そして、次の瞬間!

やつはタイヤを鳴らして走って行く。


追い越し禁止の道路を2台ぶち抜いて走って行く。


明らかにぼくから逃げている。
そう直感した。
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