ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
一旦戻ると弥生も野口も事務所に来ていた。


『昨日はわりい、急に海の風にあたろうかな…なんて思っちゃってよ…』


『おはようございます。健さんの事なんすけど…』


『なんかわかったか?』


『えぇ、去年連んでた連中が絡んでるみたいっすね…家わかりますけど、どうします?追い込みますか?』


『…うん…ちょっと待て!そいつどんな奴なんだ?年とか、体つきとか、乗ってる車とか、なんかわかるもんねぇの?』

『はぁ?わかりますよ、俺飲んだりしたこともありますし』

『車わかりますよ、シーマですよツートンの…』


『…やっぱりそうか…』


『え?やっぱりって?』


『…うん、第4コーナーでクラッシュだな、なんか聞き出すとか無理だわ…』


『…?』


『それより弥生、求人出しといてくれ、夏はみんな入り用だから金借りるんだよ、忙しくなんぞ!』

ぼくは健が回っていた場所を回りはじめた。


とりあえず仕事をして冷静になろう…そう思ったのだ。


もうひとつには、健が1人で書いた絵とは思えない、なんか裏があるはずだ。


時間を置いてそれを考えたかった。


…そう。


無理にそう考えていたのか。
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