ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
出掛けないと弥生の大袈裟なディナーが待っているからだ。


オムライスを頼んだ。


食べ終わるとコーヒーがサービスで出された。


『あっ、どうも…マスターどう?』


『うん、今日は忙しい方だよ、普段は暇だけどね、ぶんちゃんこそどうよ?稼いでる?』


『うん…いろいろあってね…仕事は順調なんだけど…』


『弥生ちゃんは元気で頑張ってるみたいじゃん』


『あぁ、今逃げてきたとこ』


『何も逃げて来ることないじゃん、一緒に居たいんだよ、弥生ちゃんも女だからね』


『女なのかね…俺にはそんな感覚…あっー!』


『噂をすれば、か』

駐車場に弥生の車が入ってきた。


『ぶん太!逃げたなー!折角ビールとつまみ買って来たのにいないじゃん!絶対ここだと思った、ムカつく!マスター、生1つ』


『ミンクに来るなら誘ってくれてもいいのに…』


『ひとりで考えたかっただけだよ』


『あっそう、んじゃーふたりで考えよ』

弥生も健の事でヤケにならないか?それが心配になったのかもしれない。


しかし、意外にもぼくは冷静なのだ。


むしろ健が誰かに踊らされてるのでは?

そう感じざるを得ない。
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