ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
長年の水商売で染み付いた客さばきが実に上手い。


ここにいる女の娘達より数段上手いかもしれない。



見ているとワインを和人さんが注文し始めている。



ぼくにも解る。

こういう時の和人さんも結構キテいる。


龍平さんも弥生にワインの一気飲みを強要しながら、おちゃらけて胸を揉んだりと、弥生の言っていた癖の悪さが出てきた。



マスターまで悪乗りし始めている。


いつのまにか服ぬいでるし…


店のママまで登場。


昔はセコくてポン中だった和人さんも、今では一家の親分だ。


景気も悪くない。しかも下っ端の時のようなみみっちい事も言わないのだ。



なんだかぼくも楽しくなって来ていた。


周りの客はいつの間にかいなくなって、僕たちの貸し切り状態だ。



ママもこうなったら、こいつらから敵をとってやる!そういう勢いだ、じゃんじゃんワインを飲み始めた。



『ママっ、女の子全員連れてこい!』



『そうだ!お前ら全員好きなだけ飲めよ!』



和人さんと龍平さんは益々ヒートアップしている。




なんでこうなったのか…一向にわからない。


とにかくテンションが高い。
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